2009/08/24

L ou S

8月23日っていうのは特別な日。
7年前のその日、私は初めてフランスに旅立ったのでした。

もちろん前哨戦はあったし、
留学の半分は、渡航前の準備と帰国後の消化にかかってるって習ったのもこのときだったけれど、
2002年8月23日に私が踏み出した一歩は、確実に新たな道を拓く最初の一歩だった。

あれから7年の間、
いろんな出会いと別れを繰り返し経験してきた。
そして、2009年8月23日、また一人成田からパリに向けて旅立ったのでした。
それは7年前の私とは反対に、1年の留学を終えて帰国の途についた友だちL。

Lと初めて出会ったのは、留学先の大学の「留学フェア」で、日本から来た留学生が自分たちの大学の紹介を行っているブースに、Lが話を聞きにきたときだったと思う。
「また聞きたいことがあったら、いつでも言ってね」と大学のメールを順に書き出していると、
私の名前を見て、「君か」というL。
偶然にも、Lは、大学のlanguage exchangeシステムに応募していた私のペアとなる相手だったのです。

そんなわけで、Lは私のフランス語を、私はLの日本語を添削、補助することになり、
最初は時限を決めて勉強していたのだけど、
そのうち普通の友だちになって、立ち話したり、ご飯食べたり、遊びにいったりしながら、
普通の会話で「これってどういうこと?」と素朴な疑問攻撃をしあったり、
「ちょっと読んでくれる?」といって課題を見せ合ったりするようになったのでした。

Lは日本に興味を持っているだけに、どことなく波長が日本的で、
それで仲良くなれたのだと思っていたけれど、実はそうではなかったかもしれない(!)
よくよく思い出してみると、私たちはlanguage exchangeというきっかけを通して、
けっこういろんなことを話していた。
私が課題で書いたエッセイなんかを見てもらうことも多くて、
なぜ留学するのか、というようなテーマの文章を見せたとき、
「そんなこと考えてたんだねー」
と言いながら、半年後に控えた自分の留学の意味を考えたりしていたっけ。
私が興味を持っているテーマの話も、
同じような分野を専攻している子とは、ある程度自明のこととして敢えて議論にならないし、
そうじゃない子は「難しいことやってるね」とか「問題山積してる分野でしょ、がんばって」とどこか他人事で、フランス人学生とあまりちゃんと話したことがなかったのだけど、Lは一生懸命聞いてくれた。
未知の領域に飛び込んでみようとする感覚が似ていたのかもしれない。
Lは穏かではあるけれど、視野を広げようという意志をひたむきに持っている子で、
だから仲良くなれたんじゃないかと今は思う。

そして実はちょっと不器用なところも似てるような気がする(笑)
でもLはとても友だち想いで、その思いやりが私にはちゃんと届いてるのです。

帰国前日、留学先の京都から東京にやってきたLは、私にお土産(?)をくれました。
それは・・・耳かき(笑)
なぜ耳かきか、というのはちゃんと経緯があるのですが、長くなるので割愛するとして・・・
とにかくその思い出の品を「買わずにはいられなかったんだ」という言葉に、なんだかとても感動したのでした。