パスツールといえば、学校に行くとき、乗り換えでいつも通る駅の名前だ。
もちろん、あの細菌学者、パスツールのこと。
そしてここには、パスツール研究所がある。
ちなみにパリの駅名にはほかにも、植民地総督のひとり、ガリエニとか(!)
フランスにジャガイモをひろめた農学者パルマンチエとか
作家のアレクサンドル・デュマとか・・・人名がついてることはよくあるのだけど、
駅名とか通りの名前とかって政治的なもので、けっこう問題含みの選択もある。
名称として使用されるだけで、名前そのものだけが実体とは切り離されて大衆化するから。
というわけで、降りてみた。
というのも、高校のときの友だちが私がパリに来ていると知って連絡をくれたのだ。
いわく、「パスツール研究所で働いてるから会いにおいでよ、案内してあげる」と。
研究所付属の図書館および美術館の案内員をしているらしい。
普段は予約団体の案内を担当してるみたいなのだけど、特別にプライベート見学ツアーを組んでもらいました♪
3000人近くが働いているという研究所だけあって、かなり敷地もひろく、
築120年以上になる建物の荘厳さも併せて、研究所の当時から続く名声の高さを物語っている。
実際、最初の狂犬病ワクチン接種を成功させて以来、世界中から支援が集まって、研究所の創設にいたったらしい。
近代における科学の権力の強さだなーと思う。
まさに「帝国の時代」なのだ。
そういえば、ダカールにもパスツール研究所あったな、と思って調べてみたら、
みごとに、世界にある研究所のほとんどが、この時代に、植民地に創設されたものでした・・・
感染症が「熱帯病」とよばれていたのもよくわかる。
どのような状態をどう判別するか、
医学は「正常」という暗黙の前提を設置するわけで、
最近では帝国医療研究というのも盛んになってますが、
パスツール研究所という組織も例外ではないということでしょう。
ところで、パスツールの生きた時代は、アール・ヌーボーの時代でもあって、
美術館で印象に残ったのは、ガレ作の花瓶。
パスツールの70歳の誕生日に弟子たちがオーダーしたもので、
彼の業績を象徴するデザインがほどこされているのを、こっそり友だちが手にとってみせてくれたのです(笑)
パスツール研究所を見学してみようという発想はなかったけど、新発見でした☆