彼女とは、シアンスポ時代によく一緒に美術館めぐりをした思い出があって、
久しぶりに文化的なことしなきゃね、といって
改修したばかりのオルセー美術館に行ってきました。
色彩、空間、配置で、作品の印象はだいぶ変わるんだな、というか
久しぶりに訪れたということもあってか、今までとは違う作品が目にとまることが多くて、
常設展が充実してるフランスの美術館の醍醐味を思い出しつつ、
学生特権のあるうちにもっと来ようと改めて思ったのでした。
帰り際に喫茶店によって、絶えないお喋りに花をさかせ続けているうちに、
去年フランスで大ヒットした映画の話に。
"Intouchables"という映画、『最強のふたり』という邦題で実は東京国際映画祭のグランプリにも輝いてるみたいですが、とにかく笑える!という評判とは裏腹に、
「郊外に暮らす黒人青年が介護することになる全身不随の白人富豪との交流」といういわば陳腐な設定が、「黒人奴隷が白人の主人を笑わせる」という古典的な人種差別のテーマ系におさまってしまうといった指摘もあって、評価が二分されているのです。
私も最初はその設定ゆえに素通りしてたのだけど、
異例のヒットで、あまりにも「お勧め」されるので、気になり出していたこの映画。
やっぱり自分の目で確かめなきゃ、ということで、そのままカフェをあとにし、映画館へ。
結論からいうと、個人的には気になるところもありつつも、それなりに楽しめました。
たとえば「人種」の設定は、たしかに演出のひとつにはなっているけど、それは舞台装置にすぎないと感じられる程度に背景におさまっていたからかな。
でも本当に考えるべきなのは、映画そのものよりも、この映画が大ヒットして、フランスで暮らす人びとが「大いに笑った」という事実のほうだと思う。
私は背景におさまっていると感じた、つまり別の装置でも同じように目立たないものであれば違和感はないだろうと思うのだけど、
本当は装置は前景にあるのに、自分のイメージのなかにある装置と一致しているために意識されなかったということだとしたら・・・
しかも大衆受けするということ、それもコメディとして、というのは後者の可能性が高い。
経済危機にもかかわらず、あるいはそれゆえに(?)
去年フランスでは映画館、美術館ともに観客数が大幅に増加したという事実と併せてちょっと考えさせられる現象かも。
もしかしたら自分もその現象に乗りつつ、
それも含めて文化的なパリを旧友とともに1日満喫できたいい休日でした☆