2013/02/17

anniversaire

フランスでは誕生日のお祝いは迎える本人が主催する。
ホストという意味での主役。

そんなわけで私も今年はパーティーを企画してみました。

15㎡の小さな我が家にはなかなかお客さんも呼べないので、
学生寮(国際大学都市)に住んでいる友人にサロンを借りてもらって、
12~3人で持ち寄りのパーティー。

私はちらし寿司や、セネガル料理ヤッサもどきなんか作ってみたり。
ちなみにこのヤッサ、パリで食べるなら北駅の近くのNiourmeというお店が格別。


セネガル第一言語のウォロフ語で、
たまねぎっていう意味のこの料理、
その名のとおり、大量のたまねぎをひたすら炒め、マリネするだけで、比較的簡単に用意できるので、
外国人にも人気の入門料理らしいのだけど、
やっぱり本場の味はなんかパンチが違うのよね。

(ちなみに写真は本場も本場、セネガルのお家で撮影)
 
あ、日本でも、浜松町にカラバッシュというお店があります。


話を戻して、
フランス式誕生日パーティー、自分が主催するので、
自分の誕生日を口実に好きな人を呼べるという、なんとも贅沢な企画なわけです。

日本の大学時代のクラスメイト、大学院の仲間、留学先の大学院で専攻を同じくする“同僚”たち、
仕事場(=図書館)に一緒に通ったり、
土曜日は、ジョギング×映画で一緒に息抜きしたりした友だち。

よく考えてみたら、みんな私の人生のいろんな側面を、共有したり、リードしたり、影響したりしながら、一緒につくってきてくれた存在なわけで、
つまり、私がこうして新たに年を重ねるという、まさにその過程を支えてくれている人たちを招くというのは、ある意味筋の通ったお祝いの仕方なのかも。

ちょうど集まったお友だちの多くが、それぞれ新たな「出発」を控えた時期で、
私も初めて留学が2サイクル目を迎え、自分の「出発」に思いを馳せながら、
フランスでは「若者」でなくなる境界線に足をかけたのでした。

お招きできなかった読者のみなさまにも、感謝をこめて。

2013/01/31

Aux Archives, Citoyens!

わたしがよく訪れる公文書館はエクスにあるわけだけど、
その本館ともいうべきパリ館がこの度、大掛かりな移転を行っていて、新館がセーヌ・サン・ドニ県 ピエールフィットについ先日オープン、一般公開しているというので見学に行ってきました。

公文書館の設立はそもそもフランス革命まで遡ります。
というのも、革命で没収された教会や貴族たちの文書が、国の文化遺産とみなされ、 保存・管理の必要が生じたから。
つまりフランス国立公文書館は、近代の公文書館そのものの祖であるというわけ。

で、新館オープン・イベントのスローガンも
Aux archives, citoyens!
(市民たちよ、いざ、公文書館へ!)

(革命賛歌、もといフランス国歌、
ラ・マルセイエーズの歌詞、
Aux armes, citoyens!
(市民たちよ、いざ、武器を取れ!)のパロディ)



公文書の保存だけでなく、市民への公開も公文書館の大事な任務なのです。

だからパリ第八大学のすぐ側という立地もアクセスのよさから選だのだ、ということになっているけど、パリの中心マレ地区から、郊外サン・ドニへの移転に対する評として、この論旨が果たして「市民権」を得られるのか、やや疑問は残りますが。

ちなみにポスターの奥に見えるのが、アルマーニ銀座タワーも手がけたマッシミリアーノ・フクサス設計の建築。

とはいえ、特別公開ではなんと2週間で3500人もの来館者があったとか。

たしかに普段から、作業をしていても、歴史研究者が利用者の大半、ということは全然なくて、
たとえば自分の家系図をたどりに来ているひとのほうが多い印象なのだけど、
そうして考えてみると歴史は国の遺産であり、そしてそれは当然市民に属するものだというロジックを、かなりはっきり辿ることができる。そしてこんなところでも、フランス人の意識の根幹には、やはり革命なのか、と思えてならないのです。