何度行っても、平日はだいたい滞在先と史料館を往復するだけなので、
今回は少し街を歩いてみることに。
すると、とある建築計画にぶつかりました。
設計はなんと、隈研吾氏。
大学院の友だちと旅行で訪れた長崎の街を歩いていて、
やはり偶然、とても惹かれた建物が隈氏設計の長崎県美術館。
空間のつくりかた、風通しのよさに、私は中を通り抜けずにはいられなかったのでした。
エクサンプロヴァンスでは音楽・ダンスのコンセルヴァトワール を新しく建設する計画みたい。
2013年度竣工予定とあったので、建造物はまだ見えなかったけど、
その代わり、隈氏の建築理念を説明した文章が掲載されていました。
いわく、氏の建築法の本質は、「光に満ち、開かれた空間をつくり出す」こと。
これはまさに私が長崎県美術館を見て受けた印象と同じでした。
既存の空間を使って、建造物を設置するのではなく、
建築そのものが新しい空間を作り出しているという感覚。
さらに面白いなと思ったのが、素材についてのくだり。
素材は「閉ざされた塊」(masse fermée)では活かされないが、
ひとたび粒子として捉えられれば、それは動きに満ち、光や見るひとの小さな変化に応じて、
さまざまな表情を見せうるのだという。
この開放的かつ動的という空間のコンセプトが好きだ。
エクスはとても「きれい」な街だけど、なにかチャームに欠けるものがあるという気がしていたのだけど、友だちにこれは「美術館のような街だ」といわれてそれがわかった。
美しいけれど、動いていないのだ。
コンセルヴァトワールって、文化遺産を保存(conserver)するための機関 という意味を持ちながら、
実質的には、新しい芸術家を育てる教育機関という機能を果たしているわけで、まさに文化の本質はここにあると思う。
つまり、新しい風をとりこむことで、文化は変化を重ねながら生き続けることができるのだ。
だからこのコンセルヴァトワールは、「開かれて」「動きに満ちた」空間であってほしいと思う。
近くにはやはり建築と芸術活動を融合させる試みとして、ヴァザルリ財団もあったりして、
実際ここには、文化活動で町おこしをしているナントのような、ポテンシャルがあるのではないかと私はひそかに注目しているのです。
ちなみに滞在中、このヴァザルリ財団で、"un ange à ma table"という劇をやるというので、まさかニュージーランド作家ジャネット・フレイムの小説『エンジェル・アト・マイ・テーブル』かしらと思って観に行ったら全然違いました。
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