その中で1937年にパリで開かれた万博について触れたのを機に、
先生が「各国のパビリオンが集まっていたトロカデロ広場に行って感じたことを発表しなさい」という変わった宿題を出されました。
実はトロカデロ広場ってエッフェル塔が一番よく見える場所な気がするんですが、
クラスの1人がエッフェル塔はフランス社会のヒエラルキーを象徴していると発言。
それに対してフランス人学生がすかさず反論、
「私はフランス社会が階級性だとは思わない。私たちの社会はむしろ平等主義だ」
と言うと、クラス中の留学生たちが(特にこのクラスは偶然にもけっこう留学生が多い)いっせいに
リアクションを始め、フランス人学生 vs 留学生という議論が始まったのです。
こっちの授業でディスカッションがあっても、こんなにクラスみんなが争って発言しようとすることなんて実はかなり珍しいこと。
つい先日大家さんと立ち話をしていて、マダムのお父様はシアンスポ出身の国務院勤務(=政治家)で、シアンスポの目の前に住み、
家には「女中」がいて何から何までやってくれていたのでマダムは結婚するまで卵のゆで方すら知らなかったという。そんなマダムの結婚相手はやはりシアンスポ出の貴族。友だちも16区に住む貴族。。。
そんな話を聞いたばかりだったから余計に、
「フランス社会は平等主義」
はないだろう、と思ったけれど、
というか、フランス人学生が本気で平等主義と信じていることに私はちょっと耳を疑いましたが、
同時にグラン・ゼコールのエリート再生産システムを真に垣間見た感じがしました。彼女の育った世界は、ものすごく均質な、“平等”な世界なわけで。。。
確かにシアンスポは優先学区と提携した特別入試を実施したりしていて、
これは実質アファーマティブアクションと言われているくらいだから不平等是正の努力をしている方なのだろうけれど、本当はこの制度うまく根付いていないと私は思う。
シアンスポ側は、「これはレベルに達していなくても定数を設けて特定のカテゴリーの人の入学を許可するといったアファーマティブアクションのシステムではなく、入学生の多様化を図る政策だ」としているのに、実際「正規」の試験を受けて競争を勝ち抜いてきた優等生たちの中には、
この特別入試合格者を極端に言えば「自分より能力が低いのに楽して入ってきた」というような見方が残っているし、理解を示さない先生もいる。
そして結局シアンスポ側もせっかく入学生の多様化を図っても、それを均質化する教育に熱心で、
皮肉な言い方をすれば、まるで「かわいそうに郊外に育ってしまったけれどここへくれば大丈夫、16区出身みたいに見えるようになるから」とでも言いたいような、それじゃまったく多様性を認めてないじゃんという感じなのだ。
とはいえ、この制度導入に踏み切ることができただけでも大きな変化ではある。
メンタリティーが変化するのはきっとものすごく時間のかかることだから。
先生が“la bataille n'est pas encore gagné, mais elle n'est pas perdue non plus."
(闘いは終わっていないけれど、まだ勝つ余地はある)と仰っていた通り、まだ闘いは続くのです。
5 件のコメント:
たしかに平等「主義」だと思うよ。
階級意識が根強く人々に残っているから。
日本より建前と本音の国かもしれない。
って一般化はよくないか笑
その授業めちゃくちゃおもしろそうだね。
文化政策の授業か。とればよかったー。
「自分より能力が低いのに楽して入ってきた」っていうリアクションはaffirmative actionやると必ず出てきますよね。
アメリカだと冗談で、"あいつがネイティブアメリカンのバックグラウンド持ってても合格は厳しい"みたいなこと言っているの何回か聞いたことありますね。あとはプリンストンのOBが「本来は合格できる白人が入ることができていない」なんて反発していたり。まぁ合格を出したい生徒なんてたくさんいるわけで、その中から人種という側面で生徒を選ぶことができるから、大学側はそうやっているまでなんですけどね。
>げんちゃん
フランスの「建前」も嫌いじゃないんだけどね。建前が本気で信じられていると危険だったりするよね。
>emeline
朝8時(+前日は21時15分まで)だけどねw ちなみに先生はフランス3で本を紹介するコーナーを持っててよくテレビに出てるっぽい。(うちF3映らないけど。。。)
>tidio
東大後期だって、「多様化」政策だけど「後期バカ」っていう表現も存在するしね(苦笑)
問題は恐らくシアンスポの学生のほとんどが自分の才能だけで入学したと思っていること。(東大やプリンストンもそうなのかな)あとアファーマティブアクションってそれこそ「平等主義」のフランスではかなり抵抗があるみたい。
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